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広島のプロフェッショナル

減塩なのに深い味わい、「やさしいだし醤油」

vol.05 川中醤油株式会社 菊本 俊佑 さん

川中醤油株式会社 菊本 俊佑さん

品質管理と商品開発を兼任

川中醤油株式会社 菊本 俊佑さん
川中醤油株式会社 菊本 俊佑さん
川中醤油株式会社 菊本 俊佑 さん

広島市安佐南区沼田町にある「川中醤油株式会社」と、直営店の「醤の館(ひしおのやかた)」。
こちらで2014年9月から発売されている「やさしいだし醤油」の生みの親、菊本さんとお会いしました。

菊本さんは大学時代、農学部で食品に関する勉強をされていました。
川中醤油株式会社に入社されてからは「品質管理」部門で経験を積み、現在では「商品開発」を兼任される実力派です!

「基本的には、季節ごとに新商品を開発しています。」

菊本さんはにこやかに話されますが、季節ごとに新商品を開発するのは簡単ではありません。

醤油と一口に言っても、その種類は様々です。
お刺身に合うものや卵かけごはん専用のもの、減塩タイプのものなど、用途やニーズによって細かく丹念に考え抜かれ、これまでに沢山の商品が菊本さんの手によって生み出されてきました。

直営店「醤の館」では、常時50種以上の商品が陳列されています。
もちろん、菊本さんが開発された商品も^^

「だし醤油は、普通の醤油よりも使用する原料の幅が広がるため、開発が難しいんです。」

終始穏やかな菊本さんも、商品開発を語る時は厳しい職人の目になります。
知識と経験、醤油という大きな枠の中で様々な商品を生み出していく熱意と自信が、彼の言葉の中に溢れていました。

醤油の開発とは

やさしいだし醤油
やさしいだし醤油
調味料として、なくてはならない醤油。その開発とは一体どんなものなのでしょうか。

川中醤油では、社内で提案された「こんな醤油があったらいいんじゃない?」というアイデアが、菊本さんたち職人の技術によって製品化されています。

醤油の開発を行うにあたり、まず使用する原料を考えます。
主な原料は同じでも、その配合は全て違い、醤油開発で難しいのはその配合です。

新商品の開発では製品のコンセプトによって追加される原料もあり、もちろん主な原料の配合も変わります。その組み合わせ方によって、同じ醤油でもさまざまな味に変化するのです。
特に「だし醤油」はカツオや昆布など「だし」の種類も併せて考える必要があるため、開発の難易度はぐっと高くなります。

理想の味へ、より近づけるための原料の選択とその割合。求められるのは豊富な経験と知識、時には冒険心によって生み出される配合技術です。

そうして開発を経て決められた原料、配合がレシピとして製造担当に伝えられ、試作品が出来上がります。
開発担当の個性は原料や配合に現れます。製造担当は上がってきたレシピを見れば誰のものかわかってしまうほど。
それだけ多くのレシピが作られ、製造されたことの表れでもあります。

試作品が出来上がれば会議で社長を始め社員に意見を求めます。もちろん、自信を持って提出したものでも覆されることは珍しくありません。
苦労して改良を重ねても、商品化されずにお蔵入りになってしまうものもあります。

やっとOKが出ても、商品化になるまではそれから大体1年ほどかかり、そして、その間にも複数の開発が並行して行われ、また新たな製品の試作が出来上がり…と、醤油の開発は常に行われているのです。

また、商品として売り出すためには見た目のインパクトである「パッケージ」も重要になります。
開発者は当然、自分が作った醤油に対して強い思い入れがありますから、パッケージを主に担当する通販部にその熱い想いを伝え、意見をぶつけあって一つの商品となり、川中醤油のラインナップに並ぶのです。

一筋縄ではいかない醤油作り。
今では定番商品となったものにもそれぞれ数多の苦労があり、こうして私たちの手元に届いているのです。

「やさしいだし醤油」ができるまで

簡単ではない醤油の商品開発。
菊本さんにとって、強い思い入れを残すことになった商品があります。

一度は使ったことのある方も多いのでは^^
減塩タイプなのにコクと旨味がしっかりとあって人気の「やさしいだし醤油」がそれです。

「調味料無添加の醤油を作ってみよう」

「やさしいだし醤油」の商品開発は、そんな社内の声から始まりました。

調味料無添加… それはつまり、アミノ酸などの旨味調味料が入っていないということ。「やさしいだし醤油」は、「旨味調味料を入れずに美味しい『だし醤油』を作る」という難易度の高いコンセプトの基に開発された商品なのです。

「この商品を開発するにあたっては、紆余曲折ありました」
そう語る菊本さんの言葉通り、「やさしいだし醤油」の開発は長く険しいものでした。

そもそもだし醤油というのは加工調味料で、手作りの場合は醤油にみりん、鰹節などを加えて作ります。手作りするとなかなか手間のかかる「だし醤油」を簡単に使えるようにと、スーパーなどには数多くの「だし醤油」が売られています。
ただ、ほとんどの「だし醤油」には添加物が入っていて無添加の「だし醤油」を探すのは難しく、さらに無添加だからと言って美味しいとは限りません。

川中醤油の挑戦は、「無添加」だけど美味しい「だし醤油」を作ることにあったのです。

旨味調味料を入れずに美味しい「だし醤油」を作る。その開発はまさに紆余曲折で、試作を作り、会議、そしてまた試作。開発はその繰り返しでした。
無添加の「だし醤油」というただでさえ難易度の高い製品開発ですが、今回の開発でなにより大変だったのは、半分完成、まできたところで、「調味料無添加」に加えて「減塩」というコンセプトが追加されたことでした。

「減塩」というコンセプトの追加により、「だし醤油」をベースに「旨味調味料」を使用しないことによる「物足りなさ」を解決し、さらに保存性を高くする「塩分」を控えながらも日持ちするような工夫が必要になったのです!

試行錯誤の末に作った原料の配合は振り出しに…。
しかし、確かに「調味料無添加」だけでは弱いかもしれない。川中醤油の商品は、体に本当に優しいものでありたい!
「減塩」というコンセプト追加は、より良い製品を生み出そうとする精神ゆえの決断でした。

「やさしいだし醤油」の完成には実に3年の年月が費やされました。
通常一つの商品を開発するのに費やされる時間は約1年程だそうですから、その3倍もの年月をかけた「やさしいだし醤油」の開発は、簡単なものではなかったことを物語っています。

「自信を持って作ったものが認められれば嬉しいですし、やりがいを感じますね」

決して簡単ではない醤油作り。難しい課題とコンセプト追加にも見事に応えた菊本さんの「やさしいだし醤油」は、川中醤油が目指した「体に本当に優しくて美味しい」、人気商品となりました♪

菊本さんや開発室の方々が生み出してきた美味しい醤油たちは、川中醤油株式会社の建物に併設の直営店「醤の館」でも販売されています。

「【やさしいだし醤油】は、減塩思考の方や、普段使っている減塩醤油を物足りないと感じる方にぜひ使っていただきたい商品です」

だし醤油ですが、減塩タイプなので塩辛くなく、しかも美味しいという、体に優しくて使いやすい逸品です♪

日本人の料理に欠かせない調味料である醤油たち。
菊本さんを始めとする醤油作りのプロフェッショナルによって、日々進化を遂げています。

個性的で様々な醤油が揃っている「醤の館」には、今日も近隣の常連さんや遠方からはるばる足を運ばれたお客さんで賑わいます♪

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まいぷれ広島編集部が行く!~川中醤油さんでお醤油のおハナシ聞いちゃいました~

川中醤油株式会社

〒731-3165
広島県広島市安佐南区伴中央4丁目1番6号

Tel 082-848-0008082-848-0008
フリーダイヤル 0120-848-8380120-848-838

Fax 082-848-0168

営業
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【川中醤油株式会社オンラインショップ】

http://kawanaka-shouyu.net/

取材を終えて

醤油を開発している方って、一体どんな方なのだろう・・・?
そう思いながら訪れた「川中醤油株式会社」さんには、優しい雰囲気をまとって、笑顔が柔らかい菊本さんがいらっしゃいました^^

様々な用途に合わせた醤油を0から生み出す菊本さん。
開発過程のお話しをされる時、とっても生き生きされていました♪

そして、「やさしいだし醤油」が完成するまでのストーリーを聴いた後、試食もご用意いただいたので(その様子はコチラその味にすっかりはまってしまいました(笑)

実家へのお土産に購入して帰ったのは、言うまでもありません…^^

(ライター:まいぷれ広島編集部さくら)